LRRI技術資料および関連技術
LRRI技術資料
昨今の災害の多発および復興に資するべく、(一社)地域国土強靭化研究所としてとりまとめ た下記「調査および関連技術報告」を「LRRI技術資料」として公開、提供させていただきました。
===【LRRI技術資料一覧】=========================
- Vol.2 No,4 「令和6年能登半島地震における地盤流動に関する現地調査からの考察
- 地盤流動特性と地盤流動対策の概念 -」 常田賢一 - Vol.2 No,3 「締まった基礎地盤上の道路盛土の地震危険度マクロ評価法手引き(案)」 常田賢一
- Vol.2 No,2 「気候変動に対する地盤工学的対応策」 安原一哉
- Vol.2 No,1 「河川堤防の洪水時破堤特性と性能評価の考察- 災害事例から学び今後を展望 -」 常田賢一
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Vol.2 No,4
「令和6年能登半島地震における地盤流動に関する現地調査からの考察
- 地盤流動特性と地盤流動対策の概念 -」 常田賢一
概 要
令和 6 年能登半島地震において、地盤工学的に特筆されるのは、石川県内灘町の液状化に起因する
地盤流動および地盤流動に起因する住宅などの被害である。本文は、令和 6 年 2 月下旬に実施した内
灘町の地盤流動に関する調査結果およびその考察である。なお、現時点の限られた情報の範囲では
あるが、内灘町の傾斜地の 5 断面を中心とした地盤流動状況、住宅などの被害の実態に基づいて、傾
斜地の特性、地盤の変状特性、地盤のずれの規模、県道 8 号などの地盤流動の抑制要因、地盤流動変
位量の算定方法、地盤流動対策の概念を報告する。
Vol.2 No,3
「締まった基礎地盤上の道路盛土の地震危険度マクロ評価法手引き(案)」常田賢一
概 要
近年の想定を超える豪雨、地震などによる道路災害が顕在化してきている。ネットワークを形成す
る道路は、橋梁、トンネル、土工構造物など、多種多様な道路構造物が関わるため、個々の構造部の
耐災害性の向上とともに、道路ネットワーク機能の維持・向上が必要である。
本資料は、道路構造物のうち、土工構造物の一つである盛土を対象にするが、盛土は箇所、延長が
膨大な数に上るとともに、災害危険度には差異があるため、全てを一律かつ同等に耐災害性を向上す
ることは非合理、不経済である。
そのような状況を鑑みて、本資料は、2004 年新潟県中越地震、2009 年能登半地震の地震災害の経
験に基づいて、中山間部などにおける締まった基礎地盤上に構築される道路盛土の地震危険度および
そのネットワーク機能上の重要度などを 2 段階でスクリーニングするマクロ評価法を提示している。
本資料は、地震に対する道路盛土の点検、詳細調査、対策などにおける危険度、優先度の評価対応
が合理的かつ効率的に行えることが期待される。
なお、2024 年 1 月 1 日に能登半島地震が発生し、道路盛土も数多く被災したが、今次の無被害盛土
の地震危険度評価およびそれに基づく対策のために、本評価方法が活かされることを願っている。
Vol.2 No,2
「気候変動に対する地盤工学的対応策」 安原一哉
概 要
◆目的・主旨
気候変動を含めたサステナビリティに対する地盤工学的対応策の現状を紹介することによって、
この方面の地盤工学の関心を高揚させることを目的とする。
◆話題の概要
(1)「気候変動における持続可能性への地盤工学的貢献」 安原一哉
サステナビリティのうち、気候変動に伴う地盤災害(特に、複合災害)に焦点を当て、現状の分
析と今後の対応策を展望した。加えて、IPCC 等の国際機関に対する貢献策も併せて提案した。
(2)「丸太を用いた液状化対策による気候変動緩和貢献の事例紹介」 村田拓海
気候変動緩和策としての地盤災害対策への木材利用の可能性に焦点を当て、大規模分譲住宅地
に丸太を用いた液状化対策工法を適用した事例と、その工事における炭素貯蔵効果を紹介した。
(3)「産官学連携による地方都市における木材利用促進と社会貢献」 吉田雅穂
木材資源の豊富な地方都市の福井県における、産業振興、地域活性化、国土強靭化、気候変動
緩和への貢献を目的として、産学官が連携した木材利用研究会の活動を照会した。
(4)「気候変動における持続可能性に関する LRRI の活動」 安原一哉
地域国土の強靭化の課題のうち、気候変動に伴う地盤災害に焦点を当て、LRRI における過去 3
年間の取り組みを報告し、併せて、LRRI 会員の所有する関連の技術例を紹介した。
◆知見・結論の要点
SDGs のなかで取り上げられている“気候変動”に対する対応策(緩和策、適応策、緩和策と適応
策の融合)の事例を紹介し、地盤技術もこのことに貢献することができることを示した。
◆知見の意義
地盤工学が地域社会のサステナビリティにも貢献できる分野であることで認知を広げることが
できる。併せて、LRRI の認知の拡大にも繋げることができる。
Vol.2 No,1
「河川堤防の洪水時破堤特性と性能評価の考察- 災害事例から学び今後を展望 -」
常田賢一
概 要
近年の豪雨などにより発生した河川堤防の破堤の 6 事例:2004 年 10 月台風 23 号/円山川、2004 年 10 月台風 23 号/出石川、2012 年 7 月九州北部豪雨/矢部川、2015 年 9 月関東・東北豪雨/鬼怒川、2019 年 10 月台風 19 号/吉田川、2019 年 10 月台風 19 号/千曲川を対象として、それぞれの堤防調査委員会における審議、報告の内容について、“性能評価”の共通の視点により、破堤特性および復旧工法を横断的に整理するとともに、今後の河川堤防の破堤に関わる性能評価のための評価指標、評価基準などを考察している。
LRRI関連技術
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